お客さまが欲しがるフロントエンド商品とは

無料もしくはお手軽価格商品で、顧客との接点をつくる

前回の記事では、コーチング、コンサルティングなどの売りにくい商品を売るための方法について、概要を述べました。

その概要の中で、高額なコンサルティングやコーチングはいきなり売るのは難しいので、まずはお客さまが欲しいと思う、「フロントエンド商品」を売る、というものがありました。

お客さまが欲しい!と思う商品とは?

お客さまが飛びつくような商品とは、どのような商品でしょうか。
これを考える前に、1つやることがあります。

それは、「誰」にこの商品を提供するのか、ということです。

「誰」が決まらないと、欲しい商品というのも決めることができません。

あなたは、社員のモチベーションを上げるコーチだとしましょう

例えばあなたは、社員のモチベーションを上げることを専門とするコーチだと仮定しましょう。

クライアントの会社の社員のモチベーションを上げるため、社員と個人面談をしたり、目標を設定し、それに向かっての実行をサポートするのが、あなたの仕事です。

このコーチングサービスがバンバン売れれば、フロントエンド商品なんてものは設定しなくてもよいわけですが、現実はなかなかこういった形のない商品は売りにくいものです。

さて次に、「誰」を顧客に設定するかを考えるわけですが、ここで重要なのは、想定する顧客を細かく定義するということです。

細かく設定するとは、以下のような感じです。

  • 年齢
  • 役職
  • 男女
  • 家族構成
  • 経営している会社の従業員数
  • 会社が所属している業界
  • 会社の現在の経営課題、発生している問題
  • 趣味

などなどです。

「とはいえ、できるだけ幅広い業界から仕事を受けたいので、想定顧客を細かく絞り込むのは抵抗があります。」

仰ることはわかりますが、想定顧客像をあいまいにすると、売ろうとしている商品のコンセプトもあいまいになります。特にフロントエンド商品の場合は、これが顕著になります。

このように、想定顧客を設定することを、「ペルソナを設定する」といいます。

ペルソナとは、想定顧客像のことですが、ペルソナの名のとおり、特定の個人となるよう、細かく人物像を設定いたします。

想定顧客像(ペルソナ)は、どのような人を設定すればよい?

これも必ず出てくる質問です。

ペルソナ設定の考え方はいろいろありますが、1つは「理想の顧客」をペルソナとすることです。

コーチのあなたが得意な業界の社長。
受注単価が高い会社の社長
契約もしっかり守ってくれ、支払いも迅速な社長
何よりも会社の利益向上と従業員を大切にする社長

などなど、理想を言い出したら切りがありません。

もう1つは、「一番のお得意様」をペルソナとする考え方です。

理想の顧客をペルソナに設定すると、よく出てくるのが、「そんな理想の客は残念ながらいない」という現象です。

よって、理想の顧客の条件はすべて満たさないけれど、一定以上の売上を継続的に上げさせてもらっている顧客をペルソナに設定するのもよく使われる手法です。

お客様がすぐにでも欲しい!と思う商品を考える

仮に設定したペルソナが、55歳の男性の会社社長で、せっかく育てた社員が数年程度で退職してしまうことが目下の最大の悩みだとしましょう。

このような悩みを抱える社長が欲しがるものって、どのようなものがあるでしょうか。

人間は誰でもほぼ例外なく、怠け者です。

抱えている問題をすぐに、楽に解決したい。

心の奥底では誰もがこう思っています。

これは人間の本質的欲求ゆえ、仕方のないことです。

社員がすぐに辞めてしまう会社の社長がほしいもの。
そのうちの1つに、「社員を会社に定着させるための〇〇の方法」のような無料レポートを提供できれば、このような悩みを抱える社長の目に留まる確率は格段に上がります。

レポート形式で配布するのもよいですが、同じ内容で、無料もしくは、低価格のセミナーを開催することもおすすめいたします。

さて、フロントエンド商品は、まずはお客さまが「欲しい!」と感じる商品であると説明しました。
しかし、ただ「欲しい!」と感じる商品というだけでは、まちがった解釈を生んでしまいます。

典型的な事例として、住宅会社の展示会があります。

チラシなどで一度はご覧になったことがあるかもしれませんが、

「来場者の中から先着〇〇名様に〇〇産のメロンをプレゼントします!」

このようなフロントエンド商品を準備すれば、メロン欲しさに来場する人は増えるかもしれません。

しかし、住宅会社が本当に売りたい商品、利益が多く取れる商品(バックエンド商品)は、住宅です。
展示会を開催する目的は、お客さまを集めることが最終目的ではないはずです。

最終目的は、利幅の大きいバックエンド商品、住宅会社であれば家を売ることです。

ですので、展示会は、将来、住宅、家を買ってくれそうな見込み客を集めることを目的とすべきです。

将来、家を買ってくれることにつなげるためのフロントエンド商品。

アイデアはたくさん出てくると思います。

例えば、まだ具体的に家を買う、建てることは考えていない30代夫婦が、「失敗しない住宅の選び方」などの無料冊子をフロントエンド商品として設定すれば、「メロン」よりも来場者数は減るかもしれませんが、住宅会社にとって、より質の高い見込み客が集まります。

なぜメロン?

住宅会社に、展示会のプレゼントになぜメロン選んだのか?と聞くと、十中八九こんな答えが返ってきます。

メロンほしさに、多くの人が集まる。

展示会に来てもらい、うちの営業マンに接触すれば、あとはどうにでもなる。

巧みな話術で、現時点で家の購入にあまり興味を持たない人でも、興味を持たせることができるんですよ。

たしかに言うことはわかります。

ただこの場合、住宅会社には、巧みな話術、接客ができる腕利きの営業マンが必要となります。

一方、家の購入につながるフロントエンド商品欲しさに集まったお客さまは、メロンを求めて来た人よりも家の購入に対し、意識が高いわけですから、いわゆる「売り込み」をしなくても決まるべき商談は決まっていくということになります。

営業マンにも、口説き落として買わせる、というスキルはあまり求められません。

すなわち、バックエンド商品の販売につながるフロントエンド商品を売る方式の方が、効率のよりセールスができるといえます。

フロントエンド商品を売った後は何をやるの?

さて、あなたには今、大きな疑問が出てきていると思います。

コーチングやコンサルティングなどの形のない、効果がわからない商品は、お客様はすぐには買ってくれません。

よって、その前段階として、お客様がすぐに欲しいと思う、無料または低価格の商品を売る、というところまでは理解いただけたと思います。

問題はその後。

フロントエンド商品を売った後は何をやるのか、ということです。

そもそもフロントエンド商品を売る目的について考えてみましょう。

結論から言いますと、フロントエンド商品は利益を得ることが目的ではない、ということです。

フロントエンド商品の最大の目的。

それは、お客様の連絡先を入手することです。

連絡先の情報として、一番お手軽といいますか、最小の情報は、メールアドレスです。

メールアドレスに加え、住所、氏名、電話番号、職業、年齢、性別など情報は多ければ多いほど望ましいです。

さて、この情報を使って、具体的に何をやるのか?

次にやること。それは、見込み客との「関係性構築」です。

見込み客との関係性構築については、次の記事で述べることにします。

まとめ

本日のまとめです。

  • コーチング、コンサルティングなどの形のない、効果がわかりにくい商品は潜在的なニーズはあるかもしれないが、お客様は今、その商品を欲しいと思っていないので、売りにくい。
  • 売りにくい商品を一生懸命PRしても簡単に売れるものではないので、まずはお客さまがすぐに欲しい!と思う商品を、フロントエンド商品として提供する。
  • フロントエンド商品を売る目的は、利益を得るためではなく、見込み客の連絡先を入手するためである。
  • フロントエンド商品はお客さまが欲しいと思う商品であればなんでもいいわけではなく、バックエンド商品の販売につながる商品でなければならない。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。