ある町に、二人の整体師がいました。
二人はそれぞれちがう町で、独立開業しています。
二人が住む町は、同じくらいの人口、年齢構成で、二人が開業する整体院の商圏人口も同じくらいです。
しかも、二人が持っている施術の技術(整体師の治療技術)も同じレベル。
性格も、ややおっとり型。
年齢や、整体師としてのキャリアの長さもほとんど同じと、なにもかもがそっくりな二人です。
さらに、二人は同じ悩みを抱えています。
売上が伸びないな。。
お客さまの来院数も少ないので、整体院の維持費など、資金繰りに四苦八苦する毎日。
二人は現状を打開するため、行動に出ました。
このよく似た二人をAさん、Bさんとしましょう。
Aさんはまず、お客さまを集めるためには何をしたらよいのかを、ネットや本で調べました。
そして、Facebook集客、LINE集客など最新トレンドについてのセミナーへ行き、日々、業務の合間を縫って勉強に励みました。
読んだ本の数は20冊を越え、受講したセミナー、通信講座につぎ込んだ金額は100万円を越えました。
ものすごい行動力です。
しかし、肝心な売上はどうかというと、以前とほぼ変わらないか、むしろ下降気味。セミナーや通信講座の受講費なども圧迫し、資金繰りは以前にも増して苦しくなりました。
一方のBさんはというと・・
売上を上げるための対策をやろうと思い立ってから、最初のうちは何も行動していないように見えました。
セミナーへ行ったり、本をたくさん読んだり、ということもありません。
やっていることといえば、業務の合間を縫って、Excelでなにやら数字をまとめています。
そして半年後、二人の間には大きな差がつきはじめていました。
Aさんは相変わらず、本を読んだり、ネットで情報収集をしています。
売上はも相変わらずで、資金繰りの不安が離れない、悶々とした日々をすごしています。
Bさんはというと、今では予約がいっぱいになり、忙しい日々を送っています。
新しいお客さんも増え、既存のお客さんも繰り返し来院してもらえてます。
売上が上がらない、という悩みは解消され、今ではいかにして短い労働時間で売上を上げているか、ということを考えはじめています。
かつての状況を思うと、うれしい悲鳴ですね。
何が違いを生じさせたのでしょうか?
Aさんの現在の悩み。
売上が上がらないな、、という悩みはそのまま残っているのですが、もう大きな悩みを抱えています。
知識はすごく増えたが、何からどうやって手をつけてよいのかわからない!!
Aさんの知識はものすごく増えました。
しかし、身につけた知識をいざ実行に移そうとすると、こんな悩みが出てきました。
- いろいろ身につけた知識で、どれが一番効果があるかわからない
- 何かを実行しようとしても、具体的にどうやって手を動かせばよいのかがわからない
Aさんはこのような状況に陥り、思考停止状態になっていたのです。
一方のBさん。
いったいなぜ、売上をアップさせることができたのでしょうか。
Aさんとの違いは、簡単に言ってしまいますと、「はじめに作戦を立て、やることを絞り、実行した」ということになります。
「作戦を立て、やることを絞り、実行した」をブレイクダウンしますと、以下のプロセスに分解することができます。
1.現状を分析する
2.戦略を立案する
3.戦略に基づいた戦術を選ぶ
4.具体的な行動計画を立てる
5.行動計画を実行する
6.実行結果を計測する
7.うまくいかない場合は原因を特定する
8.対策を立案する
9.再び実行する
一度計画が動き出すと最初のうちは、6の実行結果の計測から、9の再び実行までを繰り返すことになります。
何度か改善を織り込み、実行したがうまくいかない場合は、3の戦術や、場合によっては2の戦略まで戻ることもあります。
ここで大切なことは、現状分析に基づいた戦略をしっかり決めることで、やることが絞られくる、という点です。
今回のBさんのケースの場合、たとえば、現状分析の結果より、大きな戦略を、
インターネットでの集客に絞り、対策を行うと決めたとします。
次に、インターネットでの集客について、具体的にどのような戦術を採用するのかを決めていきます。
たとえば、
チラシ広告はお金もかかるし、ターゲットが定まらないのでやめる。
来院するお客さまは、客層を考慮するとスマホでの集客が効果があるので、スマホ集客サイトを立ち上げる。
Facebook集客は、客層があまり使っていないので対象とはしない などなど。
このようにやることを絞っていけば、決めた道を突き進めばよいだけです。
戦略という道の上にないことは気にせず、無視です。
売上アップの対策を考え、実行する際に、あらかじめ戦略と戦術、行動計画をつくらないと悲惨なことになります。
つまり、世の中に氾濫する、「売上アップ」、「集客」というあらゆる情報に目が行ってしまいます。
今の自社の状況には不要なトレンドまで追いかけてしまうわけです。
Aさんが陥った状況はまさに象徴的です。
現状分析、戦略、戦術はどのように立てればよいか?
まずは現状分析を行い、それに基づき戦略・戦術、行動計画を立案する。
頭ではわかっていても、これを実行しようとすると必ず壁にぶち当たります。
自分で実施した現状分析、戦略、戦術は本当に正しいのか?
経営者がたった一人でこれらのことをやるのは、非常に難易度が高いです。
時間が取れないという理由もありますが、難易度が一番高いのは、自分の状況を客観的に見ることができるのか?という点です。
典型的な例が、「うちの商品、サービスは素晴らしい!うまく売ればぜったいに売れるはずだ!」という思い込みです。
経営者の方は当然のことながら、自分の商品やサービスに思い入れがあり、売れると思っているから、その商品を開発し、販売しているわけです。
しかし、客観的にそれらの商品、サービスを分析すると、
- 実は対象としているお客さまはその商品を欲しいと思っていない
- すでに旬が過ぎてしまっている商品だった
- 競合との差別化ができておらず、今のままでは価格でしか勝負できない
なんてことが多々あります。
このようなことからも、現状分析、戦略・戦術立案は、あなたの会社の状況を客観的に見ることができる方といっしょに行うのがよいでしょう。
まとめ
今回のテーマである、「売上アップの対策をしたいが、何から手をつければよいですか?」ということについて、まとめますと、以下の項目に絞り込めます。
- 現状分析を行い、それに基づき、戦略・戦術を決める
- 戦略・戦術を決めることにより、やることを絞り込む
- 現状分析、戦略・戦術の検討は、自社の状況を客観的に見ることができる、第三者といっしょに行う。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。